ガスふろ給湯器の各機能の仕組みと選択する際のポイントを解説
ガスふろ給湯器の各機能の仕組みと選択する際のポイントを解説
カテゴリ | ガスふろ給湯器(エコジョーズ)、ガスふろ給湯器(エコジョーズなし) |
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日付 | 2019年12月08日 |
タイプ | 製品選びのポイント |
タイトル | ガスふろ給湯器の各機能の仕組みと選択する際のポイントを解説 |
ガスふろ給湯器の各機能の仕組みと選択のポイント解説
ガスふろ給湯器は、リンナイ、ノーリツ、パロマ、パーパスの 4社が商品を販売していますが、各社が多様な製品を提供しており、Webサイトの商品検索ページやカタログを見ても似たような商品が大量に出てきます。
ですが、あまりにも商品数が多くてその中からどれを選んでいいのか、どういう基準で選べばいいのかが分からない場合が多々あるかと思います。
「リンナイ、ノーリツ、パロマ、パーパスのガスふろ給湯器の型番の見方を紹介」の記事では、カタログに表示されている商品名(型番)の見方、型番からどのような機能が搭載されているかを知る方法を解説しましたが、この記事ではその各機能についてより詳しく解説をしていきます。
基本性能、形式、分類
ガスふろ給湯器は、大きく分けて、「設置フリー型」と「隣接設置型」があります。
「隣接設置型」は、浴槽に隣接(直結)する場所に設置する給湯器です。そのため、給湯器を設置する場所は限定され、浴室の壁を挟んだ外の壁ということになります。
対して、「設置フリー型」は、給湯器からお湯を給湯する配管を通して浴槽まで届ける仕組みになっていますので、浴槽の場所に影響されずに自由に設置することができる給湯器です。
また、給湯管を通して給湯するために強力なポンプを搭載しています。
「設置フリー型」は、例えば、1階に給湯器を置き、2階、3階にある浴槽に給湯することも可能です。
その設置の自由度から、新しくガスふろ給湯器を設置する場合は、ほぼ「設置フリー型」になっています。
また、ガスふろ給湯器の中には、おふろの給湯に加え、床暖房などに使う温水を供給することが出来る「給湯暖房用熱源機」というタイプの給湯器もあります。
また、パロマには一般的なガスふろ給湯器では対応していないより高温の温水を供給することが出来る「高温水供給タイプ」の給湯器もあります。
エコジョーズ・従来品(エコジョーズではない)
「エコジョーズ」は、省エネタイプのガスふろ給湯器です。
従来品ではそのまま排気として捨てていた排熱を再利用して、より効率的にお湯を作る機能を持った給湯器です。
そのため、使用するガスの量が減るため、省エネ、日々のガス代の節約につながります。
ただし、排熱を利用する機能を追加する必要があるため、給湯器自体の価格は高くなります。
上記の画像にあるように、従来型熱源機(従来品)のお湯を作った後の排熱は 200℃ほどあります。
ですが、排熱が 200℃もあるわけですので、この熱を利用して一度水を温めておき、少し暖まった水を、温度調整をしつつしっかり温めて利用する仕組みを「エコジョーズ」と言っています。
従来品ではガスを燃やして発生する熱の 80%ほどを使ってお湯を作っていましたが、エコジョーズの機種では熱の利用率を 95%ほどまでに高めています。
そのため、排熱はメーカーや機種によっても異なりますが、50℃~80℃ほどまで下がっています。
ガスの利用効率が高まるため、ガスの使用量が減り、省エネで、日々のガス代の節約につながると言うわけです。
ただ、排熱を利用する機能が追加されますので、給湯器自体の価格は高くなり、初期の設置時の費用は高くなります。
各メーカーのパンフレットや Webサイトには、年間 20,000円~30,000円ほどのガス代節約になると書かれています。
日々のガスの使用量、設置する給湯器の機種などによっても節約できる額は異なりますので、各メーカーの主張をそのまま鵜呑みにはできませんが、エコジョーズ機種と従来品との価格差は、おおよそ 4年~6年程度のガス代で回収することができます。
また、ガス給湯器は 10年前後使いますので、給湯器を設置する際の費用を受け入れることができるならば、エコジョーズの給湯器を選択する方がお得になります。
また、この後の項目で解説していますが、最近はエコジョーズ機で発生するドレンの排水処理に新しい機構が取り入れられるようになり、これまでは設置が難しかった PS内の設置も可能になってきました。
そのため、改めてエコジョーズの導入が可能か、検討してみるのもいいでしょう。
給湯能力・号数
「給湯能力」は、1分間に水温 +25℃のお湯を給湯できる量(L、リットル)を表した数値で、単位は「号数」です。
24号であれば 1分間に 24L、20号であれば 20Lのお湯を供給できることを表しています。
家庭用のガスふろ給湯器の場合は、24号、20号、16号の 3種類が設定されています。
業務用のガスふろ給湯器の場合は、24号を超える給湯能力を持つ機種もあります。
一般的に、1分間に使用する水量は、シャワーで 10L、蛇口で 4Lほどと言われています。そのため、
同時に複数箇所でお湯を使用しない単身世帯の場合は 16号で足ります。
2人家族程度であれば 20号程度。
4人家族などで追い炊きしながらシャワーを使いキッチンでもお湯を使う、と言う場合は 24号が必要と言われています。
新設の場合は、家族構成や上記の想定を参考に決めていきます。
ちなみに、夏場であれば、水温が 15℃の場合は +25℃で 40℃になりますが、冬場で水温が 5℃の場合は +25℃でも 30℃にしかなりません。
そのため、冬の方が給湯量が減ることになります。
また、シャワーの温度を 40℃にしていても実際に給湯しているお湯の温度はもっと高いため、実際の給湯量は少なめに見積もる必要があります。
ただ、家族が何人であったとしても、浴槽にお湯を貯めながら(足し湯をしながら)シャワーも使う、ということが多くないならば、20号でも足りるようにも感じます。
給湯器を交換する場合の「給湯能力」の選択は、現在の号数より落とすとストレスが増えますので、現在と同等のものか、より大きな号数のものを選択しましょう。
また、給湯器が古くなってくると徐々に給湯能力が落ちてくることがよくあります。
そのため、設定上の給湯能力が同じでも新品に交換をすることで給湯能力が増えることもありますので、ほとんどの場合は、現状のものと同等で足りるでしょう。
ただ、給湯能力を上げても給水量が少ない場合(※)は想定の給湯能力に達しない場合もありますので、注意が必要です。
※配水管の径が小さい場合や配水管が長い場合、給水圧が低い場合など
ふろ機能、おふろ沸かしの機能
「ふろ機能」とは、浴槽に自動的にお湯を張り、自動的に追い炊きなどをする機能のことで、「オート」と「フルオート」とあります。
ノーリツは、「フルオート」に加え「プレミアムフルオート」もあります。
「オート」に含まれる機能は
自動お湯はり、自動追い炊き、自動保温です。
「フルオート」に含まれる機能は、
「オート」の機能に加え、
リンナイ、ノーリツでは、自動足し湯、追い炊き配管自動洗浄が加わります。
パロマ、パーパースでは、自動足し湯が加わります。
パロマの場合は、「追い炊き配管自動洗浄」は「オート」の方にも付いています。
「自動お湯はり」は、設定している温度、湯量のお湯を入れます。
「自動追い炊き・自動保温」は、お湯の温度が下がると自動的に設定温度まで追い炊きをしてお湯の温度を上げ、保温します。
「自動足し湯」は、設定している水量より湯量が減ると、自動的にお湯を足して一定の湯量を保ちます。
「追い炊き配管自動洗浄」は、おふろの排水をする際、追い炊きをする配管の中を新鮮なお湯を流し洗浄する機能です。
我が家の場合は、リモコンが浴槽の中から押せる場所にありますので、「自動足し湯」の機能の必要性は感じませんが、実家のおふろは中途半端に広く、浴槽の中からはリモコンに手が届きません。
なので、「自動足し湯」があってよかった、と思うことがあります。
(実家のおふろには、足し湯をする蛇口もありますので、蛇口をひねる方が手っ取り早いですが...)
そのため、「オート」と「フルオート」のどちらにするか迷ったときは、「追い炊き配管自動洗浄」機能が必要か否かで決めていいでしょう。
「追い炊き配管」は、浴槽のお湯を給湯器まで取り込んで、温め直して浴槽に戻す、ということを行うための配管です。
そのため、追い炊き配管には入浴剤や汚れ、雑菌などが貯まる可能性がありますので、これを定期的にキレイなお湯を流すことで洗浄する機能が「「追い炊き配管洗浄機能」です。
日常的に入浴剤を使う家庭や小さい子どもがいる場合などは「追い炊き配管洗浄機能」がある機種を選択するといいでしょう。
ガスふろ給湯器の外形のサイズ
ガスふろ給湯器の外形サイズには、標準型、コンパクト型、スリム型があります。
ガスふろ給湯器は、ガスの燃焼熱で水を温めてお湯を作るものですので、そのお湯を作る物理的なスペースが必要です。
そのため、標準型でもコンパクト型でもスリム型でもある一定の大きさが必要になってきます。
その中で、標準型は、機種の想定する性能を発揮するための大きさが標準的なものです。
コンパクト型は、標準型に比べて全体のサイズがやや小さいタイプになります。
コンパクト型と言ってもやや小さい程度で、見比べてみると確かに小さいかも、と感じる程度です。
また、先に書いたように、お湯を作る物理的なスペースが必要なため、コンパクト型は、エコジョーズの製品がなかったり、給湯能力が 24号のものがなかったり、フルオートのものがなかったりするなど、何かしらの制約がある場合が多々あります。
スリム型は、標準型に比べて横幅が細くなっているタイプです。
ですが、幅が細くなっている替わりに奥行き(厚み)が増えたり、縦に長くなっていたりします。
このように、ガスふろ給湯器はお湯を作るスペースが必要なため、標準型でもコンパクト型でもスリム型でも給湯器の容積が大きく違うわけではありません。
ガスふろ給湯器の交換の場合は、現状のものと同じサイズのものを選択します。
また、新規で設置する場合は、選択肢が多い標準型を基準に選択するべきです。
どうしても設置するスペースがない場合は、スリム型、コンパクト型を確認してみる、と言う順番にするといいでしょう。
ガスふろ給湯器の設置方式
ガスふろ給湯器の「設置方式」は、設置する場所によって型式が決まります。
「設置方式」には多くの種類がありますが、集合住宅の場合は、あらかじめ設置できる方法が限られていますので、現在の設置方法と同じものを選択する、ということになります。
機種は多様なものが存在しますが、好みのものを選択すると言うものではありません。
戸建ての場合は、多くの場合は屋外設置の壁掛型か、据置型を選択します。
屋外設置の方法
屋外・壁掛型
屋外・据置型
「屋外」タイプは「壁掛」と「据置」があります。
読んで字のごとく、壁に掛けるタイプと地面などに置くタイプです。
屋外タイプは戸建てに多く利用されるタイプですが、集合住宅でもベランダなどに設置する場合もあります。
集合住宅向け PS(パイプスペース)設置の方法
集合住宅向け
マンションなどの集合住宅の場合は、PS(パイプスペース)と呼ばれる上下水道やガスの配管、電気や電話の配線などを通しておくスペースがあります。
そのスペースには電気やガスの検針用のメーターなどが一緒にある場合もあり、メーターボックス(MB)と呼ばれる場合もあります。
集合住宅の場合は、給湯器を設置するスペースが限られるため、その PS(パイプスペース)に給湯器を設置する場合が多くあります。
その PSに設置するタイプが「PS○○型」と呼ばれる機種です。
また、ガス給湯器は、ガスを燃焼させるための空気を取り入れる吸気口と、燃焼したガスを排気するための排気口が必要になりますが、PSの形状や PSがある場所によって吸排気口をどの部分(前なのか、後ろなのか、上なのかなど)に取り付けるかが異なりますので、それに対応するための細かな機種の選択肢があります。
ただ、これは、好みで変更できるものではありませんので、現状と同じ型式のものを選択します。
また、超高層ビルの高層階では風が強いため、強風に耐えうるための超高層階用の耐風仕様があります。
現在の給湯器が、超高層耐風仕様である場合は、同様のものを選択する必要があります。
屋内設置の方法
屋内設置型
屋外に設置すると冬に凍結する恐れがある地域や、やや古い集合住宅の場合は、給湯器を屋内(浴室内やキッチンなど)に設置する場合もあります。
その屋内に設置してある給湯器を交換する場合は、同じく室内設置型を選択します。
屋内設置型は、給湯器本体は室内に設置しますが、排気(もしくは、給気も)は屋外にする必要があります。
給気と排気の両方の管を設置するタイプが「FF(強制給排気式)」で、排気の管だけを設置するタイプが「FE(強制排気式)」です。
屋内設置タイプにも PS設置型と同じく、給排気管を取り付ける場所がどの部分(上なのか、後ろなのかなど)に取り付けるかによって選択肢がある場合があります。
壁組込型・ケースイン型
ガスふろ給湯器には、先に挙げた設置方法の他、壁組み込み型、ケースイン型というものもあります。
PS設置型と似たイメージですが、給湯器を収納するスペースが壁の中にある壁埋め込み型や、収納するケースの中に入れるケースイン型もあります。
選択肢としてはありますが、このタイプは各社共に選択できる製品が非常に限られていますので、新設する場合は選択しない方がいいでしょう。
ドレン、新ドレン処理
「ドレン」とは、熱交換器に付着した水滴(結露)のことです。
ガス給湯器では、お湯を温める際の冷たい水が流れるところで水滴が発生します。また、エアコンの内部でも冷たい冷媒と暖かい空気が接触するフィンで水滴が発生します。
それらの水滴を「ドレン」と言います。
「エコジョーズ」では、排熱も利用してお湯を作るため、水を温める温度が下がり発生した水滴を完全に蒸発させることが出来ず、水滴(ドレン)が発生します。
その発生した水滴(ドレン)を給湯器の内部から何らかの方法で排出する必要が発生します。
屋外に設置している場合はそのまま給湯器外に排出するだけでいい場合もありますが、PS(パイプスペース)内に設置する場合は、ドレンを PS内に排出するわけにはいきませんので、何らかの方法で処理をする必要が出てきます。
この処理する方法が「ドレン○○」という仕組みなのです。
このドレンを排出する仕組みのうち、「三方弁」を使った排出方法を「新ドレン処理」と呼んでいます。
この「三方弁」を使った「新ドレン処理」の仕組みを利用することで、ドレン処理専用の配管は不要となり、これまでドレン処理の問題でエコジョーズへの取り替えが難しかった PS内への設置においても導入が容易になりました。
そのため、PS内に設置されている給湯器をエコジョーズにしたい、と言う場合は「新ドレン処理」方式の給湯器を選択するといいでしょう。
この「新ドレン処理」については、リンナイは「kaecco」、パーパスは「ドレンマジック」と呼称しています。
給湯・給水接続
「給湯・給水接続」は、給湯器に接続される給水管(水道管)と、お湯をおふろに給湯する給湯管の太さ、内径を表す数値です。
配管の内径を表す数値です。
20Aは、配管の内径が約 20mmの 21.6mm(4分の 3インチ)。
15Aは、配管の内径が約 15mmの 16.1mm(2分の 1インと)。
給水能力が 24号の給湯器の場合は 20Aのみの製品が多く、20号、16号の場合は 15Aの製品が多くあります。
20号、16号の場合は 20Aの製品もラインナップされている場合もありますが、受注生産の場合が多くあります。
「給湯・給水接続」は、「設置方式」と同じく、現在と同じものを選択します。
ガスふろ給湯器の準寒冷地対応
ガスふろ給湯器の「準寒冷地対応」は、寒い地域でも使用できるよう対応がなされた商品です。
東北地方や北陸地方などの地域では、冬になると配水管などが凍結する場合があります。
それらの凍結に対応するために各所にヒーターを取り付けた商品を「準寒冷地対応」としています。
ガスふろ給湯器のQ機能
ガスふろ給湯器の「Q機能」は、お湯を出したときの温度差を最小限に抑える機能です。
給湯器はその仕組み上、お湯の使用を一度止めた後にもう一度お湯を出したとき、最初は熱いお湯が出て、続いて一時的に冷たい水が出ます。
これではお湯を安心して使用できないため、お湯を出し始めたときの温度差を最小限に抑える仕組みを作りました。
その温度差を最小限に抑える仕組みを「Q機能」と言います。
この機能のことを各社共に「Q機能」と表現しますが、ノーリツは「Q機能」を実現する機構のことを「PRO-TECメカ」と呼称しています。
BL認定品・BL-bs認定品
「BL認定品」とは、一般社団法人ベターリビングが優良住宅用品として認定した商品で、「BL」は「Better Living」の略称です。
「BL認定品」は、
保証期間は、一般商品では 1年のところが、BL認定品では 2年となっています。
期間内であれば、通常利用の範囲内で発生した故障は無料で修理をしてもらうことができます。
また、「BL認定品」には「BL-bs認定品」と言うものもあります。
「BL-bs認定品」は、「BL認定品」の中でも、環境保全などへの対応に優れた特長を持つ商品として認定されたものになります。
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